「犯罪認知件数」とは?治安データの正しい読み方と5つの落とし穴

公開: 2026年7月8日

「○○区の犯罪件数は年間△△件」——治安の記事やランキング(当サイトを含む)の元データはほぼすべて「刑法犯認知件数」です。認知件数とは、被害届や通報などによって警察が発生を把握した事件の数のこと。実際に起きた数(発生件数)とは異なります。この違いを知らずにランキングだけ見ると、住まい選びの判断を誤ります。

落とし穴①: 認知件数=発生件数ではない(暗数)

届け出られなかった事件は統計に載りません。この「暗数」は罪種によって大きく異なり、自転車盗や器物損壊は届出率が高い一方、痴漢・つきまとい等は届け出のハードルが高く、統計が実態を過小に映します。当サイトが刑法犯統計と別に不審者軸(メールけいしちょうの配信情報)を持っているのは、この暗数域を少しでも補うためです。

落とし穴②: 繁華街・観光地は構造的に大きく出る

認知件数は「そこで起きた事件」を数えるので、来街者が1日数十万人の街は住民が少なくても件数が積み上がります。人口(夜間人口)で割ると、新宿・渋谷・池袋・原宿のような街は数値が跳ね上がりますが、これは「住民が被害に遭う確率」とは別物です。当サイトの駅ランキングで繁華街駅が下位に来るのはこの構造によるもので、各記事で必ず注記しています。

落とし穴③: 「区単位」は粗すぎる

同じ区の中で、町丁目単位のスコアは数十点の差があります(23区ランキング記事で実例: 渋谷区は隣り合う丁目で75点差)。「○○区は治安が悪い」という粒度の情報は、物件選びにはほぼ役に立ちません。丁目まで割って初めて判断材料になります

落とし穴④: 罪種を無視した「総件数」比較

総件数の過半は自転車盗などの非侵入窃盗です。自転車盗が多い駅前と、住居侵入や粗暴犯が多いエリアでは、住む上での意味がまったく違います。総件数ランキングだけで判断せず、罪種の内訳(当サイトでは対人・侵入系を重くした重み付きスコア)を見てください。

落とし穴⑤: 単年の増減に反応しすぎる

町丁目単位の年間件数は数件〜数十件なので、1年の増減は偶然で大きく振れます。「前年比2倍!」が2件→4件ということも普通です。当サイトの各町丁目ページに9年分の推移を載せているのは、単年でなくトレンドで見てほしいからです。

では、どう使えばいいか

  1. 相対比較に使う: 「AとBどちらの丁目が静かか」には統計は素直に答えます。絶対的な「安全/危険」の線引きには使えません
  2. 複数の軸を重ねる: 刑法犯+不審者情報+環境(交番・夜道)。1つの数字への一点賭けを避ける
  3. 最後は現地: 統計は過去の集計です。夜の内見(調べ方の記事のチェックリスト)で仕上げてください

当サイトの安心スコアはこの考え方をそのまま実装したものです。計算式・重み・限界は算出方法ですべて公開しています。

よくある質問

認知件数はどこで見られる?

警視庁が「区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数」をCSVで毎年公開しています(無料)。当サイトはこのデータを平成29年分から蓄積・整形して使っています。

「治安が悪い」と言い切る記事は間違い?

統計から言えるのは「認知件数が相対的に多い/少ない」までです。それを「危険な街」と言い換えるのは、データの限界を超えた表現だと当サイトは考えています(だから使いません)。

認知件数が0件の町丁目は完全に安全?

いいえ。人口の少ない丁目では0件は珍しくなく、暗数もあります。「その年に警察が把握した事件がなかった」以上の意味はありません。

本記事は一般的な情報提供を目的としています。統計の出典と当サイトの計算方法はこちら

本サイトのスコアは、警視庁「区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数」・警視庁「メールけいしちょうオープンデータ」(CC BY 4.0)・総務省統計局「国勢調査」(2020年)・国土交通省「位置参照情報」・OpenStreetMap(© OpenStreetMapコントリビューター、ODbL)をもとに独自に算出した相対指標です。 特定の地域の安全性を保証・断定するものではありません。

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